実はゲームブックと電子書籍は相性が悪いシステムなのかもしれない。スマホ対応HTML5+JavaScript+CSS+決済システムが最強。
こんにちは。ゲームブック投稿サイトを運営している者です。
日頃ゲームブックの情報収集癖があるので、Twitterの検索欄で「ゲームブック」と言うキーワードを入れる「ゲームブックサーチ」は日課です。
そんな折、こんなご意見を拝見しました。
電子書籍の同人ゲームブックは、量産する作家さんほど、編集技術が一向に上達してなくてげんなりした。 作品の面白さ以前に読みにくいから、そもそも読破できない。 2種類の改行コードくらい理解してよ。 段落入れてよ。 商品の説明がクソ長い冒頭丸写しはカンベン。売りがまったく伝わらない。
— ドロシー! (@game_book) 2016, 1月 1
OH! ゲームブック書籍情報では一番の情報量を誇るドロシー!さんのご意見とあっては見過ごす訳には行きません。
ドロシー!さんのタイムラインを追っていますと
電子書籍のゲームブックは、以下のような、編集がすばらしい作品もいくつもあるんですよ。 「DTノーメンクレーター」 「ゲームブック YOUはSHOCKをウケる」 「魔の絡まりし聖樹」 KindleはiOSとAndroidでフォントの表示が変わるし、デバッグが大変よね。
— ドロシー! (@game_book) 2016, 1月 1
なんと…自著に言及していただいているではありませんか
ま、でも
編集が素晴らしい作品
と言われているだけで、内容が面白いと言う評価ではありません。
んー……。嬉しいような残念なような複雑な気持ちです。
さらにレビューで「リンクを押し間違えることがある」と言う評価も頂いていたので、今後の反省として受け止めていたのです。
総じてUI(ユーザーインターフェース)を良くする必要があると痛感しているのですが、ゲームブックを作る側として、
実は電子書籍はゲームブックに向いていないのかなあ
とも思い始めました。
それは七つの大罪や進撃の巨人のゲームブックの著者である藤浪先生のTweetでも実感します。
自分がゲームブック作成するとき、見開き単位で文章が収まるようにしてるのは『火吹山の魔法使い』を初めてやったとき、最初の選択がページを跨いでたせい(日本語版初版。その後の版で改善されています)で見逃して、東に行けなかった苦い経験のためであって、高尚な拘りとかあるわけじゃないですよ。
— 藤浪智之 (@tokeneko) 2015, 12月 23
これですね……。 UIでは非常に重要な部分です。
選択肢は全てユーザーに提示されて初めて意味を持つもの。
見落とされるようではUIが悪すぎです。
対戦格闘ゲームでボタンが壊れているのと一緒です。
昇竜拳打ちたいのにスカってボロクソにやられるのと同じです。
選択肢が次のページにまたがっていると言う難問は、現状の電子書籍は解決し得ないと言うのが筆者の見解です。
目次
自由すぎなレイアウトの問題
電子書籍はepubと言うファイル形式が採用されています。
簡単に言うと、ウェブサイトと同じ技術が流用されているんです。
だから本来ウェブページと同様の表現力を持ちうるはずなんですが、紙媒体の呪縛があるのか大変に使い勝手が悪くなっています。
例えばKindleのビューワーですけど、端末のKindleを始め、スマホアプリやPCのフリーソフトが提供されいます。
これだけでもレイアウトが千差万別になる上、フォントの大きさを自由に変えられる仕様になっています。
実際その機能がないとユーザーには不親切です。大きな字で見たい人もいれば、長文を眺めたいので小さい字の方を好む方もいます。
ということはレイアウトを一様にできないということになります。
これは絶望的です。選択肢が次のページに跨らないように文章調整するなんてことが全く意味のないものとなります。
回避するにはレイアウト固定、すなわちテキストベースであっても漫画のように画像で提供するしかないと思うんですが、それだと先に述べたフォントの大きさをユーザーの好みに調整できないという自体が発生します。
ジレンマです。ユーザー好みの文字の大きさを犠牲にするか、選択肢が次ページに跨る事を犠牲にするか二者択一です。
この時点でゲームブックを提供するのに、現状の電子書籍では無理ゲーと言う結論に達しました。
ページ連続の不便
普通にウェブページのようにページが連続でスムーズにスクロールしてくれれば大分見やすくなります。
ひどい電子書籍媒体ともなると、わざわざ紙のページをめくるようなアニメーションが施されており、ページの末端が見にくかったり、見ようとするとめくりたくないのに勝手にめくれる不具合と言うか仕様に悩まされます。(このUIを採択した責任者にレバー一回転+強パンチボタン、スクリューパイルドライバーの一発はぶちかましてやりたくなります)
紙媒体のゲームブックで一つ懸念されているのはパラグラフ遷移中に該当外ページも目に入るというもの。
なのでパラグラフ単位でページを設け、文末までスムーズにスクロールし、選択肢を選ばないかぎりは他のページに遷移しないと言うちょっと特殊な条件が望ましいのです。
ページ毎に長さが異なるように出来れば最高。そしてリンク以外は不連続。
連続したウェブページだとゲームブックを再現するにはちょっと不十分なところもあって、GameBook.xyzでも課題となっているところです。
ただこれはpixivさんの小説ページ機能のように、少しばかりシステムを構築すれば可能な事です。(そのシステムを開発する知能もお金も持ちあわせていませんが…(T_T))
スマホの時代
現在スマホが一番閲覧される媒体ということは皆さんも御存知でしょう。
雑誌やテレビよりもネットのほうが閲覧される時代。その中でもPCよりスマホでのアクセスが今や主流です。
つまりスマホに最適化したUIと言うのが最低条件です。
そしてSNSがユーザーからの関心を強く持たれる時代。
そこにはテキストが縦に書かれていることは皆無。日本語の良い所の一つは、縦でも横でもどちらでも適応できるところ。素晴らしい事ですね。
縦書きは必須条件ではありません。横で十分。そして上記に述べた条件でスムーズなスクロールで閲覧できればいいんです。
決済機能が欲しい
上記に述べたようにウェブページの方が使い勝手が大幅に良いのに、何故わざわざ電子書籍にするのか。それは次の三点があるからだと考えています。
- 決済機能がある
- ユーザーがデータを所有できる
- コピーが出来ない
つまり……紙媒体の書籍のように扱えるからユーザーが既存の感覚でお金を払うことに抵抗を感じにくいんですね。
ユーザーの意識はまだまだ実態のないデータというものにお金を払うということにためらいを感じていますよね。
実際ウェブページは無料で読めるものが大半を占めます。日経電子版やNEWSPicksのように、一部のサイトで有料ウェブページを提供していますが、月次毎の課金が殆ど。
一つの記事毎にお金を払うというサイトはnoteさんなどで見受けられますが、まだまだこれからという感じがします。
逆にそれらが解決できればもっと素晴らしいUIでユーザーに作品を提供出来るはずです。
まとめ
以上に述べたようにゲームブックを表現するには電子書籍では無理があります。かと言って現状のnoteさんでもゲームブックに最適化されているとは言いがたい。
なのでGameBook.xyzがその形を目指せばいいという方向性を見出すことは出来ましたが、実現出来るのはいつなんだろう……。
少ない頭とお金を振り絞って今年はその課題に取り組んでいければと思います。
(あんまり期待しないでくださいね)
以上、北海道からでした。